CTEPH.jp 医療関係者の方

このサイトは、医療関係者の方を対象に、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に関する情報を掲載しております。
ご利用の際は、必ず注意事項をお読みください。
あなたは医療関係者の方ですか?

PEA(PEAの実際)

術後管理と術後評価

術後管理と術後評価

PEAの術後は、循環管理、呼吸管理、抗凝固管理に重点を置いて全身管理を行います(表1)1)

PCPS(percutaneous cardiopulmonary support:経皮的心肺補助装置)を装着してICU(intensive care unit:集中治療室)に戻った症例は、数日間かけて離脱を試みます。1週間以上の長期PCPS補助により救命できることもあります。また、重度の心不全を有する症例には、経皮的大動脈内バルーンパンピング補助を同時に行うことで効果を得られる場合があります2)

輸血は、自己の貯血血液を用い、術中術後の他家血輸血はできる限り行わないようにします2)
術後の再灌流障害による肺浮腫や気管内出血は最も注意すべき合併症です。術後の気管内出血は手術時の肺動脈壁損傷によることも多いため、呼吸不全が遷延化した場合は長期にPEEP(positive end expiratory pressure:呼気終末陽圧)をかけながら人工呼吸管理を行います2)。気道出血やドレーンからの出血の心配がなくなったらヘパリンを開始し、ワルファリンの経口投与に変更します2)。PEAの術後は、10~15%の症例に残存肺高血圧が認められるため、血管拡張薬などによる長期にわたる右心不全管理を要する場合があります2)

ICU退出後、一般病棟で徐々に離床をはかり、2~4週間のリハビリテーションを行います。また、肺血流シンチグラフィー、右心カテーテル検査PAG検査などによりPEAの効果判定を行います。また、6分間歩行などの運動負荷試験を行い、術後の運動耐応能の改善度を評価します1)、3)

表1 PEA術後管理

循環管理

・通常、ノルエピネフリン0.1~0.5γを中心に体血圧≧80mmHgを目安に管理
(術前右心機能の低下を認める場合はドパミンあるいはドブタミンを併用する場合がある)

・SGカテーテルによる心係数は2L/min/m2前後が多い(尿量が確保されていれば十分)

・残存PHに対しては一酸化窒素(NO:15~20ppm)で対応

呼吸管理

・ICU入室後、約半日間プロポフォール持続投与下にPEEP10cmH2Oによる人工呼吸管理とする

・積極的に利尿を図り、再灌流障害やCPBの影響を除去することにより徐々に肺動脈圧の低下が認められ、通常は24~48時間以内の抜管が可能になる

・残存PHを伴う症例や再灌流障害が強い症例では慎重に抜管することが重要

抗凝固管理

・術後第1~2病日より低分子ヘパリン(2.5IU/kg/hr)の持続点滴投与を開始し、翌日より5~7.5IU/kg/hrへと増量し、その後ワルファリンの経口投与へと移行

荻野 均:医学のあゆみ240(1):123-128,2012より改変、作表

略語

  • PEA: pulmonary endarterectomy :肺動脈血栓内膜摘除術
  • PAG : pulmonary angiography :肺動脈造影

References

  • 1) 荻野 均:医学のあゆみ240(1):123-128,2012
  • 2) 循環器病の診断と診療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)
  • 3) Matsuda,H. et al. : Ann Thorac Surg 82(4): 1338-1343,2006