CTEPH.jp 医療関係者の方

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PEA

今後の展望と課題

CTEPH治療の今後の展望と課題

近年、CTEPH治療の研究・開発が進んでいます。CTEPHに対する唯一の根治的治療であるPEAも手術手技が向上し、さらに手術管理の改善・進歩により重症例やPEA困難例に対して安定した治療成績が得られるようになってきています。しかし、PEAは難度が高い手術であることに変わりなく、末梢型の場合や、中枢型であっても末梢側の全ての血栓を摘除できない場合、別のアプローチが必要となります。

日本では、肺動脈の狭窄や閉塞をバルーンで拡張するBPA(balloon pulmonary angioplasty:バルーン肺動脈形成術)も、PEAと同様に治療成績の向上が報告されてきています。また、世界で最初にCTEPHに対して適応が認められた経口薬 リオシグアト(可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激剤)が、2014年、「外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発した慢性血栓塞栓性肺高血圧症」を適応症として使用が認められました。

このように、CTEPHの治療選択肢は広がっています。例えば、PEAだけでは血栓を摘除しきれなかった場合、BPAを行い症状の改善をはかることが可能です。また、BPAで手術のリスクを低下させた後にPEAを行い、全体のクリアランスを上げるという治療法も有効だと考えます。さらに、術後に残存・再発したCTEPHに対しては、リオシグアトの使用が可能となったことから、PEA、BPA、そしてリオシグアトなどの薬剤を患者さんの状態に応じて上手く組み合わせる“ハイブリッド療法”が期待され始めており、今後、その確立に向けて検討が進むものと考えます。

海外では、CTEPHの診断と治療の向上を目標とした内科医や外科医、その他のメディカル・スタッフにより構成されているICA(international CTEPH association:国際CTEPH協会)があります。治療選択肢が増え、CTEPH治療の大きな変化を迎えている日本においても同様な組織を立ち上げ、患者さん一人ひとりの状態に適した治療法をより正確に選択できるようにするために、CTEPH治療に関するさまざまなエビデンスを長期にわたって収集・解析することが必要だと考えます。最適なCTEPH治療の実現と患者さんのQOL向上のために、今後は、CTEPH治療に携わる各診療科間の連携はもちろんのこと、施設間の連携をより強化していかなくてはならないと思います。

略語

  • CTEPH: chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症
  • PEA: pulmonary endarterectomy :肺動脈血栓内膜摘除術