CTEPH.jp 医療関係者の方

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肺高血圧症とは?

肺高血圧症の各疾患群の特徴

 

第1群:肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)

肺高血圧症として、最も典型的な臨床像を呈する疾患群で、さらに、下記のように分類されています。

1)特発性PAH(idiopathic PAH:IPAH)

ベニス分類(2003年)※1で、特に原因となる疾患が明らかでない例を、IPAHと呼称することになりました。

2)遺伝性PAH(heritable PAH:HPAH)

PAHの中で、唯一、遺伝子異常が確認された疾患群を指します。ダナポイント分類(2008年)※2で、家族性PAHからHPAHに名称変更されました。

3)薬物・毒物誘発性PAH

わが国での報告は多くはないものの、海外では、食欲抑制剤が発症に関連している症例が報告されています。

4)各種疾患に伴うPAH (associated PAH:APAH)

  • ①結合組織病に伴うPAH(connective tissue disease -PAH:CTD-PAH)
    わが国では、特に症例数が多いと考えられています。
    欧米では、強皮症(SSc)に伴うPAHが主ですが、わが国では、SScとともに、混合性結合組織病(MCTD)や全身性エリテマトーデス(SLE)の合併率も高いとされ、治療方針を決定するには、原疾患の病態評価を慎重に行うことが重要です。
    エビアン-ベニス分類では“膠原病に伴うPAH”とされていましたが、ダナポイント分類で名称変更されました。
  • ②HIV感染症
    わが国では、症例報告は限られています。
  • ③門脈肺高血圧症(portopulmonary hypertension: POPH)
    海外では肝移植対象例の5%程度に、この肺高血圧症が存在するとされています。
    進行した肝疾患の既往の有無に関わらず、門脈圧亢進症に伴う肺高血圧症のことを指します。
  • ④先天性心疾患に伴うPAH(congenital heart disease - PAH: CHD-PAH)
    主に、中等度以上の左右短絡の持続によって生じるため、適切な治療を行えば肺高血圧は可逆的ですが、手術の時期が遅れたり、肺血流が増加せずに成長した場合には非可逆的となります。
    特に、この最重症型であるEisenmenger症候群は、肺動脈圧上昇によって、右左シャントが常態化しているため、PAHとは病態が若干異なります。
  • ⑤住血吸虫症
    臨床像も病理的にもIPAHと類似していると報告されていますが、わが国では、ほとんど報告例はありません。

第1’群 肺静脈閉塞性疾患(pulmonary veno-occlusive disease: PVOD) および/または肺毛細血管腫症(pulmonary capillary hemangiomatosis: PCH)

PVODとPCHは肺静脈や毛細血管の異常に伴って肺高血圧症を呈し、臨床像はPAHと共通点が多くあります。
また、PCHとPVODは、組織像に多くの類似点があるとされ、同一疾患の異なった表現型とする考え方もあります。

第1”群 新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertention of the newborn: PPHN)

新生児期に限定された急性疾患で、多くは肺実質病変などの原因となる疾患が存在します。
ダナポイント分類では、第1群:PAHに含まれていましたが、ニース分類(2013年)※3では、第1群の亜型(第1”群)に細分類されました。

※1 ベニス分類:ベニスで開催された第3回ワールド・シンポジウムで、それまでの肺高血圧症のエビアン分類が改訂された
※2 ダナポイント分類:米国のダナポイントで開催された第4回ワールド・シンポジウムに踏襲された、ベニス分類の改訂版臨床分類
※3 ニース分類:ニースで開催された第5回ワールド・シンポジウムで、ダナポイント分類に小規模な改訂が加えられた

第2群:左心性心疾患に伴う肺高血圧症

肺高血圧症の中で、最も症例数が多いといわれています。
肺高血圧は存在するものの、肺動脈楔入圧も高値を示すため、計算上は肺血管抵抗の著明な上昇はみられない場合が多く、肺血管自体に病変を持つPAHとは基本的に病態が異なります。
左心性心疾患に伴う肺高血圧症に対する治療は、その原疾患に対する治療が優先されます。

第3群:肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)や、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、慢性の高地低酸素曝露など種々の肺疾患や低酸素血症に合併する肺高血圧症のグループです。肺実質障害による肺高血圧症では、一般に、高度の肺高血圧は少ないと報告されています。

第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(chronic thromboembolic pulmonary hypertension: CTEPH)

器質化した血栓により肺動脈が閉塞し、肺血流分布ならびに肺循環動態の異常が6か月以上にわたって固定している病態で、慢性肺血栓塞栓において平均肺動脈圧が25mmHg以上の肺高血圧を合併している例とされています。

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第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症

最近になって肺高血圧症を併発することが知られてきた疾患例で、血液疾患、全身性疾患(サルコイドーシスなど)、代謝疾患(糖原病Ⅰa型など)、その他(腫瘍塞栓、線維性縦隔炎、慢性腎不全など)に分類されています。
ニース分類では、慢性溶血性貧血が第1群からこの群に移されました。

肺高血圧症の分類はこちら

References

  • ・循環器病の診断と診療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告):肺高血圧症治療ガイドライン(2012年改訂版)