早期発見、早期治療が根治へとつながるCTEPHですが、専門病院への受診がなかなか実現しない大きな理由は、診断の難しさです。CTEPHの主な症状は「息切れ」「だるさ」「疲れやすさ」「咳」「むくみ」など。ひどくなると失神する場合もあります。しかし、さほど症状が進んでない状態だと喘息や慢性気管支炎と区別ができにくい。「精神的なものでしょう」と言われるケースもあります。
症状と疾患が結びつきにくいCTEPHですが、プライマリケア医の方々に注意いただきたいポイントがいくつかあります。まずCTEPHには「反復型」と「潜伏型」に区別され、反復型については過去に肺塞栓を起こしているので既往歴を確認してください。潜伏型は明らかな症状がないまま進行しますが、特徴的なのが聴診における「Ⅱ音の亢進」。よほど丁寧に聴診しなければ気づかないものの、おかしいと思うきっかけにはなると思います。また心電図や心エコーにも特異的な変化がありますね。いずれにせよ常にCTEPHを念頭に置きながら「もしかして」という気持ちを持つことが重要でしょう。