肺高血圧症のスクリーニング後、CTEPH(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症)と他の肺高血圧症との鑑別に進みますが、それには、肺換気-血流シンチグラムが有用です。
肺血流シンチグラム(肺血流シンチ)は、侵襲も少なく、繰り返し検査が可能で、慢性肺疾患などの換気障害に伴う血流減少を鑑別する意味でも、診断的価値は高いとされています。
CTEPHの肺血流シンチ所見は、少なくとも区域以上の血流欠損を認めるため、(図1中) 肺血流シンチ所見が正常であれば、CTEPHは除外されます。
また、CTEPHの肺換気シンチ所見は一般に正常です。
一方、肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)は、肺血流シンチが正常、あるいはmottled liked(小斑点状血流不均一所見)で、区域性欠損を呈さない点が、CTEPHとの鑑別点になります(図1左)。
原因不明の肺高血圧症に対するアプローチとCTEPHの位置付け
日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版).
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_fukuda_h.pdf(2020年1月)
CTEPHの診断基準では、肺換気-血流シンチグラム所見は、以下のように定められています。
肺血流シンチグラムで得られる所見は、肺循環障害としての重症度を反映しないこともあります。そのため、手術適応などを決定する際は、肺動脈造影による血栓部位の把握や、右心カテーテル検査による肺循環動態の評価が必要となります。
References