CTEPH(chronic thromboembolic pulmonary hypertension:慢性血栓塞栓性肺高血圧症)のQOLや生命予後は、肺高血圧の程度によって左右されます。
肺高血圧症の臨床症状に基づく重症度分類には、NYHA心機能分類とWHO肺高血圧症機能分類が用いられています(表1)。
この2分類の各重症度レベルの内容はほぼ同じで、わが国の「肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)」では、肺高血圧症の機能分類として、この2分類を組み合わせた“NYHA/WHO機能分類”が用いられています。
表1 肺高血圧症機能分類
日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版).
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_fukuda_h.pdf(2020年1月)
未治療の場合のCTEPHの予後は、血行動態重症度が高いほど不良であり、軽症例でも経過とともに血行動態が悪化する症例があることが報告されています。
また、わが国においては、安定期のmPAPが30mmHg以下の症例の5年生存率は100%と良好であり、全肺血管抵抗(PVR)を指標として、CTEPHをPVR(dyn・sec・cm-5)<500、500~1,000、1,000~1,500、1,500<の4群に分類すると、それぞれの5年生存率は100%、88.9%、52.4%、40.0%であることが報告されています。
References