PEAの治療成績と病院死亡の危険因子
PEA実施後の病院死亡率は5~10%、5年生存率は84~88%とされており、肺血行動態と換気血流不均等は改善し、生命予後に加え症状や運動耐容能、QOLが改善することが報告されています。また、低酸素血症の改善により、在宅酸素療法からの離脱が可能になります1)。日本においてもPEAの治療成績は向上してきています。国立循環器病研究センターにて、荻野らがPEAを担当したCTEPH患者160例(1995~2011年11月)の早期成績は、入院死亡率6.9%と報告されています2)。また、術後1年以上を経過したCTEPH患者130例のうち120例の遠隔成績は良好であり、3年生存率は99.1%、5年生存率は95.2%、7年生存率は93.3%(図1)、遠隔期心肺事故回避率は3年通過時点では95.3%、5年通過時点では88.8%、7年通過時点では83.7%であることが報告されています2)。
また、荻野らは、早期死亡の危険因子は、凝固異常やDVT(deep vein thrombosis:深部静脈血栓)がなく原因不明なもの(OR:10.1、P=0.011)、NYHA Ⅳ(OR:3.4、P=0.004)と報告しています2)。病変部位別では早期死亡に差は認めなかったこと、さらに残存PHの危険因子として末梢型肺動脈病変(OR:3.4、P=0.014)があげられることなどを報告しています2)。
図1 PEA施行後のCTEPH患者の遠隔期生存率
