呼吸器科医が診るCTEPHの診断プロセス Vol.2 Chapter1 2019年作成
呼吸器科医が診るCTEPHの診断プロセス、前回はCTEPHの病態についてご紹介しました。今回はCTEPHの治療について、引き続き、千葉大学医学部附属病院呼吸器内科の坂尾誠一郎先生よりご解説いただきます。
CTEPHの治療では、中枢の血栓を取り除く「肺動脈内膜摘除術(PEA)」がゴールドスタンダードです。
胸骨の正中切開により開胸を行い、器質化血栓を血管の内膜ごと剥離します。非常に難度が高い手術ですが、今でもゴールドスタンダードとなっています。実際、手術により血栓を取り除くと、平均肺動脈圧(mPAP)や肺血管抵抗(PVR)が低下することを経験しています。
ただし、mPAPや心機能の程度、閉塞部位や重篤な合併症の有無などにより、PEA適応とならない場合があります。
その場合には、先端に風船のように膨らむバルーンがついた特殊なカテーテルを首や腕、脚などの太い血管から挿入し、肺動脈の血栓のあるところでバルーンを拡張させて閉塞を解除する「バルーン肺動脈形成術(BPA)」が行われます。
また、CTEPHにおける新しい治療として、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬リオシグアトが2014年1月に「外科的治療不適応又は外科的治療後に残存・再発したCTEPH」に使用できるようになり、新たな治療選択肢となりました。