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CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)患者さんから伝えたいこと |
細貝選手:日常生活のことなど、ここまで様々なお話を伺ってきましたが、僕は吉田さんがCTEPHという病気とすごく上手にお付き合いされているなと感じました。病気になられて6年ほど経ちますが、吉田さんはご自身の病気について今どのように思っていらっしゃいますか?
吉田さん:病気になって色々なものを失ったのは事実ですが、同じ病気の患者さんや医療関係者の方々との出会いがあったり、こうした機会でお話しさせていただいたり、自分の世界が広がるきっかけにもなりました。それによって得たものも多いと思っています。
細貝選手:すごく前向きですね。この記事を読んでいる方の中には、CTEPHと診断されたばかりの患者さんや病気とどう向き合うのか悩んでいる患者さんもいらっしゃると思います。吉田さんのように前向きな気持ちで病気と向き合うには、どうしたらいいのでしょうか。
吉田さん:まず、自分の病気をしっかり理解することだと思います。そして、無理はしない。できる範囲で、日々の生活を楽しむ方法を自分なりに見つけていけばいいと思います。私の場合、これまではスポーツをしたり体を動かすことが楽しみだったんですが、今は家でヨガをしたり公園を散歩したりすることが楽しみになりました。
細貝選手:自分にできることを楽しみながら、病気と付き合っていくということですね。
吉田さん:治療を始めたとき、主治医の先生から症状が重くても治療を続けて仕事に復帰した患者さんや、旅行に行けるようになった患者さんもいるという話を聞き、希望を持つことができました。治療を続けることで、普通の生活を取り戻していくこともできるんです。病気の情報は患者会で得られますし、同じ病気と闘う仲間もたくさんいます。新しい薬が登場したり、これからも医療はどんどん進歩していきますから、CTEPHと診断されたばかりの患者さんには、「大丈夫よ」と伝えたいです。
細貝選手:僕もそうでしたが、CTEPHという病気を知らない人はすごく多いと思います。CTEPH啓発大使を務めることになってから病気について勉強し始めましたが、本当に難しいですよね。でも、こういう病気があるということは、たくさんの人に知ってもらわなければいけないと思います。
吉田さん:そうですね。患者数の少ない病気ですから、一般の方はもちろん、医療に携わっている方にも診断法や治療法はあまり知られていないのが現状です。細貝選手のおっしゃるように、この病気を多くの方に知っていただくことで早期発見につながればいいなと思います。
細貝選手:僕もそう思います。CTEPHへの理解を広めるため、CTEPH啓発大使として様々なイベントに参加していますが、患者さんやご家族のためにも、これからももっと色々なことをやっていきたいなと思っています。今日は、どうもありがとうございました。