肺高血圧症患者さんと医師による座談会 第3回 in 東京

~患者さんの自立した社会生活や就業支援を考える~

難病患者さんの就業状況

難病患者さんの就業状況と問題点

難病患者さんの就業状況と問題点

村上さん:春名先生、難病患者さんの就業状況についてお聞かせください。

春名先生:「難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)」が施行された時に、難病患者さんを対象に行った就業に関する研究1)結果をご紹介します。PAHの会を含む、難病に関係する26の患者団体にご協力いただきました。この研究の中で実施されたアンケートでは、現在の状況、就職活動や就業状況、難病関連の離職とその際の就業状況などについて伺っています。その結果、半数を超える方(54.2%)が調査時点で就業されていました。就業に向けて求職活動や職業訓練中の方が5.1%、就職活動はしていないものの仕事に就きたいと思っている方が11.8%でした。過去10年間の経験を伺った結果をみても、難病を持っての就業経験のある方が70.9%おられ、難病患者さんの多くが就業されている、または就業の意向をお持ちであることが分かりました。また、就職を希望するものの仕事に就けていない方も一定数いらっしゃることが明らかになっています。大切な結果としては、過去10年間で就職活動をされた方の77.9%が就職に成功している一方で、就業経験のある方の44.6%が難病に関連した離職経験があったことです。つまり、体調の良い時に就職活動をすれば決して就職自体は難しくない人も多い一方、難病の治療と両立して仕事を続けることに苦労されている方が多いということです。

村上さん:難病患者さんの就業ではどのようなことが問題になるのでしょうか。

春名先生:難病の方が就業に関して困っておられることを分析した結果を表にお示しします。難病は多様で様々な症状がありますが、就職活動をしたり、職業生活を送っていくうえで一番問題になるのは、病気自体が完治せず症状が安定しないことであることが分かりました。そのことで、就職活動の時に理解や配慮を得るための説明も難しくなるし、実際、就職後に体調が崩れやすいことで、職場の人間関係が難しくなったり、治療と仕事の両立に大きなストレスを抱えたりしてしまいます。実際に体調が崩れて仕事を辞める人だけでなく、そういった人間関係やストレスの問題で仕事を辞める人が多いのも実態です。ただ、休日や休憩の条件が良く、無理のない仕事内容で、通院にも便宜が図られているような方は、体調の変化による影響を抑えながら仕事を続けられていることが多くなっています。また、治療によりのちの回復が見込めたにもかかわらず、体調の悪化や難病と診断された際に驚いて自ら仕事を辞められる方もいます。最初に治療の見通しを示してもらえれば、仕事を辞めずに休職して復職するということが可能な場合もあるのです。

1)障害者職業総合センター調査研究報告書No.126「難病の症状の程度に応じた就労困難性の実態及び就労支援のあり方に関する研究」, 2015.

表 難病患者さんが就業に関係して困っていること

難病患者さんの就業状況と問題点

障害者職業総合センター調査研究報告書No.126「難病の症状の程度に応じた就労困難性の
実態及び就労支援のあり方に関する研究」, 2015.

第3回 in 東京