肺高血圧症患者さんと医師による座談会 第3回 in 東京

~患者さんの自立した社会生活や就業支援を考える~

肺高血圧症患者さんと就業

難病患者さんへの就業支援体制

村上さん:春名先生、難病患者さんへの就業支援体制についてご紹介ください。

春名先生:難病法が施行され、平成30年度からは図のように難病患者さんへの就労支援・両立支援が本格化しています。難病相談支援センターは基本的に各都道府県と各政令指定都市に1ヵ所設けられていて、ハローワークの難病患者就職サポーターとも連携しています。障害者雇用率制度の対象となる障害者手帳をお持ちの患者さんだけではなく、手帳をお持ちでない方もご相談いただけます。障害者手帳をお持ちの方の採用については、企業側も数値目標が掲げられているため、積極的に採用したい状況だということを知っていただきたいですね。

また、治療を受けながら仕事を続けていただくために、職場の産業医と地域の医療機関の間で情報を共有し、仕事と治療の両立を支援していく動きもあります。原野さんのように小児の慢性特定疾患の方の移行期支援についても仕組みの構築が始まっています。

図 難病患者さんを対象とする就業支援・両立支援の仕組み

難病患者さんへの就業支援体制

厚生科学審議会 難病対策委員会「難病の医療提供体制の在り方について(報告書)」
H28.10.21より改変

自立した社会生活を送っていただくためのメッセージ

金村さん:経営者として、将来的に難病患者さんを雇用することができればいいなと思っています。最近は、思春期・若年成人(AYA世代)のがん患者さんの集まりに参加させていただいたりもしながら、難病患者さんたちが働ける会社についていろいろと考えています。

原野さん:就職当初、難病を持っているからこそ余計に頑張らないといけないという思いから、頑張りすぎてしまって体調を崩していました。営業職から異動していただけたことも含め、周りの人たちは自分が思っている以上に配慮してくれていることを知り、無理のない範囲で自分のできることからやっていけばいいのだという気持ちになれました。

坂尾先生:これまで様々な種類の薬が開発されてきたこともあり、肺高血圧症の治療分野は進歩してきました。それ以前は肺高血圧症の治療が今よりさらに難しく、治療の目標は患者さんの命を救うことでした。そのため,医師も患者さんの治療後の社会生活までは考えることができなかったのではないでしょうか。これからは肺高血圧症の治療だけでなく、その先にある社会生活のために医師として何ができるのか、もっと考えていかなければならないと思います。そして、医師が提供できる治療だけでは決して患者さんの就業は実現しません。社会的なサポートがあって初めて成立するものですから、春名先生からご紹介いただいたような支援の力もお借りしながら、企業の方にもできる限り配慮いただけるようにお願いしたいですね。

村上さん:高血圧症患者さんが病気を抱えながら社会参加して自分らしく生きていける時代になりました。言い換えれば、自立するということを意味しています。決して無理はしていただきたくありませんが、自分にできることを探し、様々な支援を活用しながら、治療と仕事の両立を目指していただきたいと思います。皆さん、今日はありがとうございました。

自立した社会生活を送っていただくためのメッセージ

第3回 in 東京