肺高血圧症患者さんと医師による座談会 第1回 in 東京

~患者さんと医師のコミュニケーションのあり方を考える~

良好なコミュニケーションはお互いに歩み寄ることから

肺高血圧症の診療体制の課題

波多野先生:私が肺高血圧症の専門外来を始めた当時に比べると、患者さんの数が増えて1人の患者さんにかけられる時間は短くなってしまっています。そうした状況で私ができることは、若い世代の医師を育てて、肺高血圧症を診療できる医師を増やしていくことだと思っています。
先ほど、診療時間についてのお話もありましたが、いつもと同じ薬を処方して3分で診療が終わることは、患者さんの状態が落ち着いていると言い換えることもできます。ただし、肺高血圧症はいつ何があるかわからない病気のため、緊急時に対応できるように、肺高血圧症の患者さんで希望される方には緊急の連絡先をお教えしています。連絡を受けた場合は、担当医に指示を出しています。最近は医師の働き方改革なども議論されており、他の医師に強要すべきことではありませんが、患者さんの安心感につながると思い、今も続けています。

村上さん:それは患者側からすると大変ありがたいことだと思うのですが、先生側も時間をとられますし、負担もありますよね。

波多野先生:そうですね。ちなみに海外では病院全体として診療を行う体制もありますが、そうなると医師も当番制になり、診療する医師が毎回変わる状況になると思います。患者さんはずっと同じ医師に診てもらう方が安心すると思うので、日本には合わない可能性もありますが、いずれは日本全体のシステムもそうした方向に変わっていく必要があるのではないかと思います。

忙しい医師とのコミュニケーションの工夫

井村さん:担当の先生に、次回の診療時に伺いたいことを事前に連絡させていただければ、円滑なコミュニケーションがとれるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

波多野先生:それはありがたいと思います。診療の何日か前でしたら直接返事をすることも可能ですし、診療当日の場合はその日の診療でお答えすることができると思います。

村上さん:それは患者側にしても大変ありがたいですし、先生と連絡をとる手段があることは安心感が大きいと思います。

井村さん:先生がお忙しいときは、看護師さんや他の先生が代わりに対応していただけると助かりますよね。

波多野先生:先ほど田村さんが女性の悩みは聞きにくいとおっしゃっていましたが、そういった部分でもやはり看護師とも連携していきたいと思っています。

田村さん(母):娘が小児科で診療を受けていた頃は、看護師さんにも質問していましたが、娘が成人した今では、親として診療時に同席して質問することは躊躇してしまいます。もう少し気軽に相談できる方がいると嬉しいですね。

波多野先生:そうですね。看護師からの情報がもらえると、患者さんとのコミュニケーションも増やせますね。少し気になっているのは、最近は、医師が行う電子カルテ上の保険料算定にかかわる作業が多く、それを診療中に入力を行わなければならない場合もあるため、患者さんではなくパソコン画面を見てしまいがちになることがあります。このような状況もあることを、患者さんに知っていただけるとありがたいです。

井村さん:そうなんですね。たとえ診療時間が短くても、アイコンタクトなどがあると、先生に向き合ってもらえていると感じることができると思います。先生の一言で患者は一喜一憂しますしね。

村上さん:先生が気にかけてくれていると感じることができないと、患者さんは不安になってしまうのかもしれません。

田村さん:波多野先生からは診療時以外にも返信をいただけたりしますし、しっかりと話を聞いてくださる先生だと思います。

村上さん:不安を感じている患者さんが多い中で、それはとても幸せな環境ですよね。

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