肺高血圧症患者さんと医師による座談会 第1回 in 東京

~患者さんと医師のコミュニケーションのあり方を考える~

検査をよく理解して納得できる治療方針を
医師と一緒に決める

検査と治療方針におけるコミュニケーション

村上さん:診療時の検査結果はどのように説明を受けていますか。

井村さん:検査結果の説明は、主に口頭でしていただいています。治療方針についても、先ほどお話ししたようにカテーテル検査の画像を見ながら説明していただいて納得しています。

田村さん:私は先天性の肺高血圧症なので、カテーテル検査はあまり受けていませんが、普段の外来の検査結果はプリントアウトしたものをいただいています。

波多野先生:肺高血圧症は、先天性や特発性、またCTEPHなどでそれぞれ治療目標が異なります。特発性の肺高血圧症では明確に肺動脈圧を下げることが目標にある一方、田村さんのような先天性の肺高血圧症の場合は、肺動脈圧よりも脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)や酸素飽和度などに注意をして治療方針を考えています。

村上さん:治療方針は先生と田村さんで相談して決めていらっしゃいますか。

田村さん:BNPが高いから利尿剤を飲む、ということは先生と話し合って決めました。私は、副作用が強く出やすくあまり薬の量を増やしたくないので、薬の量をどうするかについては、そのつど先生と話し合って決めています。

村上さん:理想的な信頼関係が築けていますよね。お母さまの立場からは検査結果や治療方針などを聞いていかがですか。

田村さん(母):娘が自分で診療を受けて先生と話し合って決めていることなので、個人的に質問しようとは思っていません。先生を信頼しています。

村上さん:お母さまとしては、先生とのコミュニケーションにおいて、どういったことを希望されますか。

田村さん(母):親としては、この先どうなるのか、どういった治療が可能になるのか、といった見通しを示していただけたらありがたいと思っています。

村上さん:本日は、肺高血圧症診療のコミュニケーションについて実りの多いディスカッションができました。肺高血圧症の患者は、「普通の生活ができるのか」、「私はどうなっちゃうんだろう」と思い悩んでいます。そういう状況で治療へのモチベーションを高めるには、やはり医師との良好なコミュニケーションが不可欠です。そのモデルケースとして井村さんと田村さんの例を参考にしていただければと思います。みなさんが短い診療時間の中でも先生と信頼関係を築き、難しい病気と希望を持って闘っていかれることを願っています。本日はみなさんありがとうございました。

座談会を終えて

波多野先生:肺高血圧症においては、この10年の間に10種類を超える治療薬が登場しています。新しい薬が国の承認を受けるためには、まず治験が行われますが、私はできるだけ治験の段階から参加して使用経験を積むようにしています。そうすることで、新しい薬が承認されたときに、治験で得た使用経験をもとに処方することができるからです。
私は、海外で行われている治療は日本でも受けられるようにしたいと考えており、製薬会社などに、患者さんの存在を訴えて働きかけています。医師は世界の新薬や治療の動向などにも目を向け、患者さんのメリットになるものは日本でも早く取り入れられるように働きかけることが重要だと思っています。

村上さん:患者側である私たちに何ができるかというと、薬の承認を行っている医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新しい薬の承認を訴えることだと思います。そうして声をあげていただくことが、みなさん自身に良い結果として返ってくると考えています。

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